ゾウになる夢を見る

ぴったりくる言葉をさがすためのブログ。日々考えたこと、好きなこと。映画や本の話もしたい。

いつか、AIと暮らしたい

誰かに話すことはないが、実はよく、どうでもいいことを考えている。
1度シャンプーをすれば数日(できれば1週間)サラサラ状態が保てるシャンプーはどうしたらできるかとか、Aという商品を(頼まれてもいないのに)売るとしたらどういうアプローチがあるかとか、生態系とデジタル世界の共通点とか――専門家でもないし、必要もないのに考えている。

その延長で、時々、将来どんな風に暮らしたいかを考える。
結婚して子どもがいる、みたいな風景が思い浮かぶことはなくて、一番いいのは、自分でメンテナンスできるくらいの小さな小屋のような平屋に犬と一緒に住むというもの。
ゴールデンレトリバーラブラドールレトリバー、シェパードのいずれか1匹がいいが、本当は1種ずつ、3匹飼いたい。
犬の遊べる庭があって、その片隅で花と野菜を育てたい。(単に楽しむため)
インターネットを使って、知識を共有したり、構築したりするような仕事をしたい。
それがどれだけ実現困難かは置いておくとして、一人で過ごす静かな生活にあこがれてきた。

 まぁ、そんな具体的な一つ一つが実現するどうかは、大して重要ではない(かもしれない)。
上述の暮らしのエッセンスを抜き出せば、一人用の小さな家(部屋)で、犬が1匹いて、植物が育てられればいいのだ。
小さな家はアパートの一室で構わないし、犬はそれに何を求めているかによって代替可能だし、植物は小さな鉢植えで充分だ。仕事だって、使う手段と目的は他のものに置き換えられる。どれも、今すぐに実現可能とも言える。

ただ、ずっと足りないものがある気がしていた。
どんな暮らしであるにしても、何かが欠けていて、それが満たされなければ、どれだけ「理想」が実現したとしても、きっと毎日楽しくない。

それは、会話である。
別に、今日何があったとか、誰がどうしたとか、そういうことを誰かと話したいのではない。もしどうしても話したいのであれば、誰かに連絡を取ればいい。

そうではなくて、何の役にも立たない話がしたいのだ。いや、それって雑談で今日何があったとかと一緒でしょと思われるかもしれないが、たぶんちがう。
冒頭に書いたように、あるものがどうしたら実現可能になるかとか、ある現象があるとして、その構造がどうなっているかとかを、何につながるわけでもなく考えを出し合いたい。

加えて、研究内容やそれとは全然違う領域のことの話もしたい。マンツーマンのゼミのような感じで。
そもそも足りないものに気づいたのは、このゼミというものが日常にないことが、どれだけ物足りないかを痛感したからだ。
違う領域の話は、自分で一から知識を得るのは大変なので、その気分というか、思いがけない出会いを楽しみたい。

それなら同業者とか、同じことに関心を持っている人を探して話をするだとか、なんならパートナーを見つけて「雑談」代わりにそういう話をすればいいじゃない、と思うかもしれない。そうすれば、毎日の楽しみが手に入る。
でも、代わりに「一人の暮らし」はなくなってしまう。(パートナーを得るというのが、自分の希望だけで叶うことではないということは棚上げする)

それに、誰かと暮らしたいわけではないのだ。これは重要。
議論すると言っても、わたしが思いつかないこと、知らないことを補完して欲しいのであって、情報交換をしたいわけじゃない(同じようで、たぶんちがう)。
たぶん、思考する者同士ではなくて、思考する上でのパートナー(時に導き、時に影となる)が欲しいのだ。

そこまで考えた時、可能じゃないか、と思った。
AIと暮らせばいいのだ。
Google Homeのようなスマートスピーカーの進化版。

スマートスピーカーを使ったことはないのでわからないが、あれは現にスマートフォンでできるようなことを音声で指示すれば実行してくれるというものだと思っている。

わたしが欲しいのは、それの思考特化版のようなもので、外部記憶とも言えるし、外部記憶の機能を補助的に使いながら、関連する新しい情報やこちらの思考の飛躍を考慮してちょっとずれた情報を提供してくれるというもの。

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インターネット上の情報はもちろんだが、あらかじめ様々な言語の文献、音声・映像の情報がインプットされていて、その情報は常に更新されていく。また、情報と情報のつながりもその都度組み替えられていく。

 さらに、音声でやり取りすることと、スピーカーなど据え置き型のものではロスが大きいと思うので、すべてウェアラブル端末にして発話の必要もなくす。
あまりイラスト化した意味のない出来だが、下のようなイメージ。

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ここからはどう実現するのだかわからない、SFチックな話になる。
 主なインプット・アウトプットは頭に装着したカチューシャ型の機器を介して行う(※緑部分。角と耳は「キリン」の先天的なもの)。
たぶん、脳波とかで何を考えているか読み取るのだと思うけど、そもそも脳の働きの全容がわからないし、細かな思考をどうデジタルデータに置き換えるのか甚だ疑問。
どう開発するのかとか、費用はどうなるのかとか、そんな夢のないことはすべて置いておくとして、とにかく、この機器はわたしの思考を読み取り、その思考に見合った情報をその都度与えてくれる。いったん言語化する必要がないので、言語化できないイメージにも、それに近い何かを形として与えてくれるというわけ。わたしからも、AI側からも、情報の伝達は音声・非音声がその都度選べる。

そして、思考には体調とか心理状態とかも深く関わってくると思うので(ex. 疲れている時には細かいところまで詰めて考えられない)、わたしの心身の状態はリストバンド型のウェアラブル端末からAIに送信される。
きっと、血圧・脈拍とか基本的なところから、皮膚表面の温度とか湿度、そういったあらゆる情報が心身の状態と関連付けられるように、AI側が学習してくれる。
これは好みの問題だが、東洋医学の脈診をしてくれると有難い。「今は脾虚の状態だからだるいんですよ」とかいう形で、体調を知らせてほしい。

 

たとえば、頭の中で
「他者の痛みへの無理解が起こりやすいのは、どこまでを自己とするかとか、何をどういう理由で異質なものとするのかとかが関係していると思うんだけど、心理学的なところと、社会学的な見地と、生理学の中で、この仮説に合致するものは何かないかな?」

と問いかけると、

「それだったら、xxxxという考え方があったけど、でもyyyという説も関連があるかな。ついでにzzzzということは真逆のようだけど、組み合わせるとどうだろう?」

みたいな提案をしてくれる予定。
それを受けて考えたことに対して、整合性がとれていないとかのダメ出しをしてくれるし、「すでに前にこんなことを考えていたと記憶しているけど、それは関係ないの?どうなの?」みたいな手伝いまでしてくれる(のを期待)。

ちなみに理想は、というか思い描いていることのほとんどは、森博嗣のWシリーズから来ている。

 「デボラ」というネットワーク上を移動する「トランスファ」が、頭の中に埋め込んだ通信機能搭載の記憶チップに出入りしてコミュニケーションできる、というのが実現して欲しい。

要は、パソコンやスマホタブレットとインターネット、書籍みたいに別個に存在していて、その間に人間が立って動かしているものを、全自動化して接続したいというだけのことで、すでにもうできていると言えばできているのかも。
ただ、AIだと相手は人間ではないので、疲れてるとか機嫌が悪いとかそういったことを気にしなくていいので、どうでもいいことを一緒に考えるには最適だと思う。

思考がどんどんデジタル化(外部化)されていくのはプライバシー的にはどうなのかなと思わなくもないけど、それによってAIが考えたことなのか、人間が考えたことなのか、その境界が曖昧になっていくのはおもしろい。
結局AIを介さない(実は少しずつ介するようになってるのだろうけど)現在でも、人は周りの色々なものに影響を受けているわけで、自分オリジナルの考えなんてないに等しいだろうと思う。
境界がわからなくなって困るのは、何か問題が起きた時の責任の所在をどうするか、ということくらいかな。どうかな。

 

数十年後、ひょっとしたらもっと早くに、一緒に考えていくパートナーとしてのAIが普及していたらいいなと思う。
全然手に取ったことがないので、今度AI関連の本をまとめて読んでみたい。