ゾウになる夢を見る

ぴったりくる言葉をさがすためのブログ。日々考えたこと、好きなこと。映画や本の話もしたい。

梅仕事

梅干しと梅ジュース(シロップ)、らっきょうを漬けた。

 

数年に1回だろうか。知っている人が死ぬ夢を見ることがある。自分が死ぬこともある。その中で、20歳の頃、母が死ぬ夢を見た。
夢の中で色々思うことはあるはずなのだけど、「まだ梅干しの漬け方を習っていなかったのに!」と、とても後悔したことだけを、今でもよく覚えている。当時、梅干しはあまり好きではなく、梅干し=子供の頃よくお腹を壊した時に仕方なく食べたもの、というイメージだった。(今は普通に食べる)
すごく後悔して以来、母が梅仕事をするという時は見学したり、ヘタ取りを手伝わせてもらったりするようになった。

子どもの頃は、いつも切らさず梅干しや梅ジュースが常備されていたので、母は毎年、家族で消費する量の梅やらっきょうを漬けてくれていたのだと思う。
子どもたちが大人になったからか、母が忙しくなったからか、梅やらっきょうを漬けるのは、毎年ではなく、タイミングが合えば、という感じになってきた。
らっきょうなんて、実に7年ぶりで、7年前に漬けたものが大事にされたまま忘れ去られて、見たことのない真っ黒なものに様変わりしていた。

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水につけると、産毛でできた銀色の輪郭が現れた

昨日、黄色く熟れた梅と青梅、らっきょうがいいタイミングで手に入ったので、今日は朝から漬け方を習った。
「おばあちゃんの本」と読んでいる、おばあさんが梅仕事のあれこれ(レシピ)を写真付きで解説した本を参考にしている。
梅を洗い、ヘタを取り、水気をふき、容器を消毒する。梅と塩を交互に入れ、重しを乗せて蓋をする。
ジュースは、梅と氷砂糖を交互に入れる。小さい頃、この氷砂糖を一粒もらうのが楽しみだったことを突然思い出した。
らっきょうの根と芽を落とし、薄皮を剥いて水洗いする。塩をまぶし、しばらく置き、熱湯をかけて冷ましたら、保存瓶に鷹の爪といっしょに酢漬けにする。
あとは、しばらく毎日中身を確認し、ジュースは容器をゆすってかびないようにする。
どれも単純で、簡単なことばかりなのだけど、意外に時間がかかる。

らっきょうはともかく、梅仕事には手間を帳消しにしてくれる香りがもれなくついてくる。
放っておけば今にも熟れ出しそうな青梅からは、若々しい凛とした甘い香りが漂ってくる。
黄色く熟した梅からは、桃のような、青梅よりはまったりとした重みのある甘い香りがする。
水洗いをし、水気をふき、ヘタを取り、瓶に詰めていく間中、その香りを独り占めできる。
すべてを終えた後も、まだ手には梅の香りが残っていて、すごく得した気分になる。
簡単だけど手間で、意外とお金もかかるので、こういった季節の仕事や保存食のようなものを作るのは、とてもぜいたくな時間だなと思う。
これだけをすればいいのであれば、毎日だってしていたい。

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梅ジュース、2㎏分。梅干しに倣い、一人で。

梅の季節に、毎年この香りを嗅いで、見た目と違ってすごくいい香りなんだよなと思い出す。
そして、小さい頃住んでいた家に梅の木があって、梅干しが大好きな姉に「これ、食べられるんだよ、一緒に食べよう」とすすめられ、木になった青梅を一緒にかじった時のなんとも言えない、しびれるような味のことも思い出す。
最近は、映画『海街diary』の梅仕事のシーンも思い出す。あのシーンはとても好きで、この時期、見返したくなる。今度、また見てみよう。

 

 

p.s.

来年のわたしへ。またこの時期に、良さそうな梅とらっきょうを見つけて。
もしその時一人だったら、梅干しと梅ジュース、500gずつがちょうどいいんじゃないかな。
新鮮なのを選んでね。香りはいいし、おもしろいくらい、すぐに水があがってくるから。作り方、忘れていないといいね。