ゾウになる夢を見る

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アセクシャル(仮)とモラハラな彼(1)~まえおき編~

あぁ、もう10年だ、と思い、「モラハラな彼」とのことをふり返ってみることにしました。当時の日記を探してみると、何も知らなかったはずの自分がずいぶん的をついたことを考えていて、思ったよりも早く立ち直っていたことに驚きました。
そこで、10年後のわたしは、10年前のわたしができなかったこと――出来事を整理して、アウトプットするということをやってみようと思い、こうして書いてみることにしました。

 

 

アセクシャルモラハラ――あまりにも唐突なので、なぜこの組み合わせかということをはじめに説明しておきますね。

このブログは、アセクシャル(アロマンティック+アセクシャル。ざっくり言うと、他者に恋愛感情、性的欲求を抱かない)という言葉を知って、自分もそうかも?と思って始めたものです。

そして、今回書こうとしているモラハラは、人生で唯一の「恋愛」にセットでついてきたものでした。頼んだ覚えはないんですけどね。
誰も好きにならないし、付き合いたいとも思わないのは、このモラハラが原因かもと思ってきました。でも、その悩みがすっと消えたはずなのに、恋愛に対する気持ちは少しも変わっていなくて、おかしいなーと思っていた時に出会ったのが「アセクシャル」という言葉だったのです。

つまり、わたしにとってモラハラというキーワードは、アセクシャルを知る根底にあったものであり、アセクシャルかも?という点を未だ揺り動かしている点でもあり、仮にアセクシャルであるとすれば、そのことが最悪な関係を助長させたかも、と思う点でもあります。

要は、切っても切り離せないことなんだけど、わざわざ記憶を掘り起こしたくはないなーと書かずにいたことです。

 

モラハラとは何か、ということについてはネット上にこれでもか!というくらい情報や体験談があるので、詳しいことはそちらに譲りますね。
これまたざっくり言えば、内容や程度の差こそあれ、知らない間にじわじわと自分の信じてきたものが覆され、何が正しいのかわからなくなっていき、相手の思うままに支配、操作されていってしまうものだと思っています。

当時のわたしは、自分とは無関係のことと思う以前に、モラハラという概念自体を知りませんでした。
DVも含めると、それらしき関係をドラマや小説、ニュースなどで見聞きすることはありました。最悪の場合、男女関係のもつれで一方が亡くなってしまったなどということも聞きます。
そういうことを見聞きすると、なんでそうなるのだろう?と思ってきました。どうして、逃げたり、別れたりしないのだろう、と。

それができなくなる、通常の状態であればできてしまう判断が正常に機能しなくなる、というのが、モラハラをはじめとしたハラスメント関係のこわいところだと、今ならわかります。
慣れというのは、とてもこわいものなのです。

 

さて、今回はモラハラの意味を知ってからのことと、どうして今になってこのことを書こうと思ったのかということを書いていきたいと思います。


まず、「モラハラな彼」を紹介しておきましょう。正しくは「元」彼ですので、ご安心を。
モラハラな彼は、Rと言います。Rと付き合っていたのは今から10年前、大学に入った18~19歳のころでした。詳しいいきさつは、また後日。とにかく、思い返してみても楽しかったことが1つも思い浮かびません。悩むことだらけでした。
そんな悩みの要因がモラハラだと知ったのは、なんと別れて5年くらい経ってからでした。
本人から「自己愛性パーソナリティ障害かもしれない」と聞いたのがきっかけです。本人にも医学的知識があり、知人の医師に相談しての判断だったようです。

自己愛性パーソナリティ障害については、また別に書きますね。

 

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「自己愛性パーソナリティ障害」から「モラハラ」というものにたどり着いたわけですが、わたしは安易にカテゴライズしていくことに抵抗がありました。
それは今も変わらなくて、カテゴリーがわかって救われることよりも、カテゴリーにとらわれて他のものが見えなくなることの方がこわいと思うからです。

それに、モラハラ中って、ざっくり言えば「他の誰でもなく、自分が悪い」ってことをずっと刷り込まれ続けるので、今さら自分が悪いわけじゃなかったんだと言われても「何それ?!」です。
知ったところで何もなかったことにはならないし、わたしの悲しさや苦しさは一体どこにぶつければいいん?って感じでした。

 

 それだけではありません。「モラハラ」とわかったことで、かえってつらいことも出てきました。それは、調べた先に必ず出てくる「被害者側にも被害を受けやすい要因がある」というもの。
この論調は至極まっとうなのですが、モラハラかもと思って情報を探している多くの人はすでに「自分が悪い」というのをさんざん検証した後だと思います。いくら「被害を受けやすい要因がある」ということが正しいとしても、悩んでいる人の前にはあまりに正しすぎて太刀打ちできません。
それに、「被害を受けやすい要因」がなかった人でも、何らかの条件が重なって、そんな要因ができてしまうものです。こちらの方が、実は多いかもしれません。

運は悪かったのかもしれません。自分の考え方を改めれば、同じ不幸を繰り返す可能性は低くなるでしょう。でも、被害にあった「あなた」は絶対に、何も悪くないです。

 

さらにもう1つ。自己愛性パーソナリティ障害についてみていくと、被害者に見えた相談者が実は自己愛性パーソナリティ障害だった、といった事例もあり、「わたしも自己愛性パーソナリティ障害なのではないか?」という疑念も生まれました。
冷静になってみれば、相手が自分を批判してくる言葉は、実は自己愛の人自身の問題点だったりするので、相手の問題が自分に投影されて、「もしや自分が?」と思ってしまうのかもですね。

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同じことを繰り返すことだけは何としてでも避けなくては――。
そのために必要と思われたのは、自分に自信を持つこと、自分を大好きだと言えるくらい大事にできること、安易に人を信じないことでした。
時間はかかったものの、これらは比較的順調にクリアできたと思います。

よし、これで大丈夫。あぶない人もなんとなくわかるようになってきたよ。
あまりよくない恋愛をした場合、「上書き」するのが一番なんだって。
誰かを好きになりたいな。
――と思った時、はたと気づいたのが

「わたしには、好きな人がいたことがない!」

ということでした。(厳密に言えばあるのかもしれませんが、そのあたりは「恋愛感情のない人と愛のない人編(仮)」を予定)
え、じゃあRはなんなの?と思われるでしょう。
そうなんです、Rは付き合うことを断り切れずにOKしただけなのでした。すぐに嫌われて別れられるだろう、と。
モラハラどころか、好きということすらよくわかってなかったんですよ。そんな簡単なものではないというのにね。

 

上書きできないじゃん、と思いました。
だってそもそも、恋愛じゃなかったみたいだし。

でも、恋愛感情ではなかったからこそ、違和感に割と早く気づけたし、取り返しのつかないことになる前に抜け出せたのだとも思いました。

でもでも、好きというものがわかっていれば、そもそもこんなことにはならなかったのでは――?

 

 アセクシャルモラハラ。一見無関係に見えるこの組み合わせ、実はあり得るのでは?という気がしてきました。

「好きじゃないけど、好きになるかもしれないし、とりあえず付き合ってみよう」
それはそれでいいと思います。50%の確率というのはけっこう高いものなので、やらないで悶々と考えるより、試してみた方がいいのかもしれません。
でも、もし好きにならなかったら?そういうこともあるでしょう、「やっぱり好きになれなかった」って。
そもそも、どういうことが「好き」なのかがわからなかったとしたら?「好きなのかもしれない」と自分をごまかし続けるだけだとしたら?
お互いにとって不運な結果になる可能性も、「好きになるかもしれない」確率と同じくらいに高いと思います。

 

もちろん、アセクシャル×モラハラというのは極端な例です。

でも、もしかしたらと思ったんです。
もし、本当にアセクシャルであることがこの問題を悪化させたんだとしたら、どうだろう?と。仮定でしかないし、わたしが間抜けだったという答えに帰結する可能性の方が高いわけだけど、でも、もし同じようなことがあったら、どうする?と。

正直なところ、アセクシャルかもと思うことの多くは、わたしの場合、自分の性格に起因しているような気がして、アセクシャルの枠組みからそっとフェードアウトしてもいいんじゃない?って最近は思ってます。
でも、twitter、ブログ、マンガなど、アセクシャルノンセクシャルと自認されてる方々の経験を目にすると、自分を客観視できて、「これはわたしかもしれない」と思うことがあります。まったく違う経験のはずなのに、具体的なことを取り去って見てみると、同じだ!と思うことがあるんですよね。

それと同じように、別にアセクシャルモラハラでなくても、「同じだ!」と思えるようなことが一つくらいあるんじゃないか――そう思って書いてみることにしました。
正直、自分のだめだめな部分で、かなり個人的な、はずかしく、なかったことにしたい出来事です。
フタをしてきたことを書けるかな、と少し書き溜めてみたのですが、思ったより楽しみながら書けていることに自分でびっくりしています。
せっかくなので、笑い飛ばしながら書いていけたらと思います。
へぇ、と思って読んでいただけたらうれしいです。


それでは、しばしお付き合いください。

 

 (2)へ続く。

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